中部の人はお酒を全く飲めない人が多く、九州や北海道の人は酒豪が多いって聞いた事ありませんか?
まことしやかにいわれていますが、これって本当のことでしょうか。
もちろん、飲めるけど好きじゃないって人もいると思いますが、体質的に飲めない人もいますよね。
実は体質的に飲めない人は遺伝子で決まっているのです。
同じ日本人なのに遺伝子が違うってよくわからないですよね。
今回は、なぜ日本人は下戸とうわばみが混在しているかを見ていきましょう。
お酒に強い都道府県とは
まずは、どの都道府県がお酒に強いか弱いかを見てみましょう。
お酒に強い都道府県
1位 秋田県
2位 岩手県
3位 鹿児島県
4位 福島県
5位 埼玉県
お酒に弱い都道府県
43位 和歌山県
44位 岐阜県
45位 石川県
46位 愛知県
47位 三重県
元筑波大学教授の原田勝二調べ
原田教授は、全国5000人以上について調査し、酒に強い酒豪型遺伝子の出現率をまとめたものです。
地図にするとこんな感じ。
北陸や九州の方がお酒に強く、関西、中部になるにつれてお酒が弱くなる傾向ですね。
日本三大酒処の兵庫県(灘)京都府(伏見)広島(西条)は普通以下の分類。
特に広島は下戸に入るなんて驚きですね。
そもそもお酒が強いと弱いは何を基準にしているのでしょうか。
酔いのメカニズムを見ていきましょう。
酔いのメカニズムとアルコール分解酵素
お酒を飲むと体内でアルコールからアセトアルデヒドが生成されます。
このアセトアルデヒドが顔を赤くしたり、気分が悪くなったりする原因です。
まず、体内に入ったアルコールがどのように分解されるか見ていきましょう。
ステップ1:胃と小腸から吸収され、肝臓へ
ステップ2:肝臓でアルコール脱水酵素(ADH)によって、アセトアルデヒトに分解
ステップ3:アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きで、酢酸(お酢の成分ですね)に分解されて、最終的に水と炭酸ガスになって体外に排出されます。
お酒(エタノール)
↓
↓ アルコール脱水素酵素(ADH2)がエタノールを分解
↓
血中にアセトアルデヒドが発生=顔が赤くなる、二日酔い状態
↓
↓ アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)がアセトアルデヒドを分解
↓
酢酸=人体には無害。その後ALDH2により水と二酸化炭素になり体の外に排出
アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きが弱かったら、体内に残るアセトアルデヒドが多くなり気分が悪くなります。
つまり、お酒に強いということはALDH2という毒性のあるアセトアルデヒドを分解する力が強い人のことということです。
アルコール分解遺伝子の違い
ALDH2は遺伝によって決まります。
生まれながらにあらかじめお酒への強さは決まっているということですね。
ALDH2をつくる遺伝子はN型(活性型)とD型(非活性型)の二種類。
N型は分解能力が高く、酒に強く、D型は、分解能力が低く、酒に弱いです。
これらの遺伝子を両親から一つづつ貰います。
NN型は酒豪
ND型はそこそこ飲める
DD型はまるで受けつけない
このように三パターンに分かれます。
日本人は、縄文人系はNN型、弥生人系(大陸から日本列島に移住)はND型あるいはDD型が多いと言われていますが、その割合は、NN型56%、ND型40%、DD型4%と言われています(別の説あり。)。
※アセトアルデヒド脱水素酵素の欠損率が高く酒に弱い人が多いのは弥生系で、①日本人の3~4割は、ほどほどにお酒は飲めるが、②1割近くの人は訓練しても飲めるようにはならない(残りの5割強は強い)との説もあります。
上記の原田先生の研究もこのN型遺伝子とD型遺伝子を調べた結果です。
つまり、地域によってN型遺伝子が多い地域と、D型遺伝子が多い地域があるようです。
遺伝子のルーツは縄文人と弥生人にあった
国税庁のHPでもう一つ重要なキーワードがあります。
お酒に強い縄文人系とお酒に弱い弥生人系
歴史の教科書で見た縄文時代と弥生時代のお話です。
更新世末期ないし縄文時代には、日本列島を含む東アジア一帯に、いわゆる南方系(縄文人) ~中略~ の人々が住んでいた。
~中略~
彼ら(弥生人)は、2,300年前には九州北部付近から日本列島に侵入してきて、弥生時代の幕を開けることになる。
~中略~
最終的に、現代日本人は、平均として、およそ北方弥生系7~8割、南方縄文系2~3割の比率で混血しているというのが、最近の人類学の結論である。
https://www.kahaku.go.jp/special/past/kao-ten/kao/jomon/jomon-f.html 国立科学博物館ホームページ
※現在、掲載終了してます。
もともと、日本にはお酒に強い縄文人が住んでいて、その後、お酒に弱い弥生人は九州北部から日本に侵入。
本州から北陸まで勢力をが広がりました。
D型遺伝子をもつ弥生人が多く住んでいた地域がほどお酒に弱い。
それが現代の中部や近畿になります。
九州と北陸、北海道は弥生民族があまり入り込まなかったのでお酒の強い遺伝子が残っています。
他の国のアルコール分解遺伝子はどうなの
日本人はお酒に弱い人、強い人が混じっていいる事がわかりました。
それでは、外国人はどうなのでしょうか?
コーカソイド人種(白人)やネグロイド人種(黒人)にはNN型の人しかおらず、D型の遺伝子を持っているのは日本人や中国人などのモンゴロイド人種だけということが分りました。このことが関係しているのではないかと考えています。 こだわりアカデミー原田勝二教授
つまり、ヨーロッパ人やアメリカ人はアルコールに強く、アジア圏の人種はアルコールに弱い遺伝子が含まれているということですね。
外国のほうが強いお酒が多い理由が何となくわかった気がします。
飲み続ければ強くなる、はホント!?
日本人の約4%のDD型の遺伝子の場合は残念ながらお酒に強くなることはほとんどありません。
NN型若しくはND型のようにNの遺伝子が入っている場合は、今お酒が弱い人でも飲み続けることで、お酒に強くなります。
※飲酒によるアルコール依存症の可能性もあるので無理に飲み過ぎないように注意してください。
残りの96パーセントの人は飲み続けることによって、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)が活性化されお酒に強くなる可能性があります。
さらに、アルコールはALDH2の働きのほかに、ミクロソームエタノール酸化系酵素(MEOS)の働きでも分解されます。
MEOSは肝臓の酵素で薬物を解毒するものですが、アルコールの分解が追い付かない時にアルコールの分解もしてくれます。
MEOSはお酒を飲み続けることで増加する傾向があるからです。
あなたは弥生人?縄文人?
これを踏まえてあなたは縄文人と弥生人のどちらでしょうか?
それぞれ特徴を見てみましょう。
「縄文人」の特徴
顔の形:四角・長方形
造作の線構成:直線
彫りの深さ:立体的
頬骨:小さい
目:大きく丸い
眉:太い・濃い・直線
髭:濃い・多い
瞼:二重
鼻骨:広い・高い
唇:厚い
耳たぶ:大きい
耳あか:ベトベト
「弥生人」の特徴
顔の形:丸・楕円
造作の線構成:曲線
彫りの深さ:平坦
頬骨:大きい
目:細い、一重まぶた
鼻翼:小さい
唇:薄い
汗:あまりかかない
ひげ :薄い
体毛:薄い
指紋:渦状紋が多い
耳たぶ:小さい
耳あか:乾いている
画像:日本人の顔の進化のCGシミュレーション(画像提供・東京大学工学部原島研究室)
特徴:弥生ミュージアム
どうですか?
私は目が大きくひげが濃い、耳あかがべとべとなど比較的縄文人寄りでした。
もちろん、あなたが弥生人の特徴をたくさん持っているからといって全くお酒を飲めないDD型の遺伝子とはかぎりません。
アルコール遺伝子を調べれるのか?アルコール感受性遺伝子検査キット
遺伝子検査をするには、自宅で簡単にできるアルコール感受性遺伝子検査キットを使うのが良いでしょう。
あなたの遺伝子がNN型(酒豪)、ND型(そこそこ飲める)、(DD型飲めない)のうちどのタイプかわかります。
合わせてアルコール脱水酵素(ADH)も遺伝子調べてくれて酔い方がわかります。
出典:アルコール感受性遺伝子検査キット- ハーセリーズ・オンライン
付属の綿棒で口の中の粘膜を採取して送るだけ。
自宅で簡単にできます。後はポストに投函すると15日営業日ほどで結果レポートが届きます。
まとめ
遺伝子は生まれつきのもので変化しませんが、9割以上の日本人の多くはお酒を飲めるようになります。
あらかじめ自分の体質を知ることにより、お酒と長い付き合いをすることができますよ。
無理のない程度に飲んで、素敵なお酒ライフを楽しみましょう
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