ラベルの読み方特撰、上撰、佳撰

投稿者: | 2018年7月10日


日本酒のラベルに特撰、上撰、佳撰と書かれているものがあります。

これは昔の日本酒の階級を表す名称だったのです。

現在では、特定名称酒8種+普通酒1種の9種類で表記されていますが、1990年以前は「特撰」「上撰」「佳撰」という名称に加え「特級」「一級」「二級」も同時に使われていました。

つまり特撰、上撰、佳撰とは昔の呼び方の名残というわけです。

では、なぜ特撰、上撰、佳撰が一般的でなくなったか、歴史背景を踏まえつつ解説していきたいと思います。

日本酒の級別制度


特撰、上撰、佳撰について説明する前にまず、日本酒の級別制度について説明しなければなりません。

級別制度とは、1943年から施行され1992まで使用されていた日本酒に階級を設けて上級の酒に高い酒税を課す制度のことを言います。

各等級には基準が定められており、「特級は品質が優良であるもの。一級は品質が佳良であるもの。二級は特級及び一級に該当しないもの」ということでした。

等級は専門家等で構成された酒類審議会が日本酒の官能審査を行い、アルコール度数や酒質から判断し、「特級」「一級」「二級」に分類されていました。
※制度の当初は「五級」まで

蔵元は各タンクのサンプルを提供し、希望する級別の審査を受けるという仕組みです。

なぜ級別制度が必要であったか

級別制度が採用された理由は主に2点あります。

米不足による品質の低下
日中戦争時に米不足が深刻になり、米を原料とする日本酒造りが大変難航しました。

蔵元の中には日本酒を水で薄めて販売するところも現れました。

そのような薄められたお酒を金魚酒と呼び、金魚が泳げるくらいアルコール度数、成分が少ないものでした。

第二次世界大戦後もコメ不足は続き、清酒に薄めた醸造アルコールや添加物を大量に入れた日本酒が出回りました。

このお酒は三倍醸造清酒と呼ばれ、元の清酒の三倍の量になるほど増量された日本酒です。

放置すれば日本酒全体の品質の信用が低くなってしまう事態となってしまいました。

そこで、政府がアルコール度数や成分をチェックし、日本酒を階級別に定義しランク付けを行った制度、これが級別制度の始まりです。

税収の徴収
級別制度が長く続いた理由が、戦争中における酒税の増加であったという説があります。

特級酒の税金が二級の約4倍ほどに設定されており、日本酒の価格のほとんどが税金という状態でした。

日本酒を購入する人は特級が一番よい酒だと思って購入してしまいます。

結果、高い酒税が収められるようになりという仕組みです。

しかし、この時の制度では主にアルコール度数を基準に等級が分かれており、品質の良し悪しは判断されていませんでした。

級別制度の崩壊~特撰、上撰、佳撰の誕生

そんな、級別制度に酒造メーカーは黙っていませんでした。

特級で出しても良い上質な物をあえて二級で審査を申し込んで安く販売するという方法を用いたりもしたそうです。

その結果、特級酒より旨い二級酒が増えていくという現象も見られました。

そのまま、当時のアルコールに基づく区別・課税システムが、日本酒の品質の良し悪しと対応していないとの声が高まり、蔵元の中には日本国政府の監査と拒否し、「無監査の二級酒」として、市場に流通されるが増えていきました。

そして1992年に日本酒の酒税は、 二級より高く一級より若干安い程度に統一されることになりました。

※1990年から1992年は経過措置で級別と特定名称酒の両方の名称がつかわれています。

しかし、消費者は急に特級酒などの表記がなくなると混乱が生じる恐れがあるため、
メーカーは「特級」「一級」「二級」に対応させるように 特撰、上撰、佳撰を独自につけるメーカーが現れました。

特撰、上撰、佳撰による味の違い

特撰、上撰、佳撰によって味がどのように違うのかという点についてですが、これはメーカーによって様々です。
特定名称種と違い特撰、上撰、佳撰には厳密な条件がありません。

各蔵元が、独自にランク付けをし、表示を行っているため、特撰の条件とはというものはありません。

もちろん、そのメーカーの押し具合、力の入れ具合等がわかり選ぶ参考になります。

月桂冠のレトロボトル

先日伺った月桂冠の大倉記念館でレトロボトルの試飲を致しました。

レトロボトルは当時、特級品と位置付けられており現在でもその味を楽しむことができます。

試飲で、大吟醸とレトロボトルを比べることができ、スタッフさん曰く、
「当時の最高級のお酒と、現代の最高級のお酒の飲み比べ」だそうです。

驚くほど味の違いがはっきりと出るので、一度経験してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

日本酒の特撰、上撰、佳撰についていかがでしたでしょうか。
戦時中の米不足からの話だったので、なかなか難しい内容かもしれません。
現代でも使われている蔵元さんもたくさんあるので、ラベルを見つけたら昔の名称の名残ということを思い出してみてはいかがでしょうか。

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