日本酒を飲むときどんなグラスをお使いですか?
お猪口、グラス、ぐい飲み、升と日本には非常にたくさんの種類の酒器が用意されています。
その中でも一番の美味しく日本酒が飲める酒器が錫と言われています。
いや、高級品を売るためのメーカーが仕込んだ嘘だろう
グラスで味が変わるもんか
と思うかもしれません。
しかし、酒器によって味が変わることは心理学の面と素材の特性から証明されています。
今回は、錫が酒器として好まれる理由・錫の魅力に関してご紹介していきます。
これを読めばいつも飲んでいるお酒が二倍三倍と美味しく感じられること間違いなし
お酒に高級感をプラスすると味が変化する
なぜ高級感をプラスするとお酒が美味しくなるのでしょうか。
それは心理学的にハロー効果と呼ばれています。
例えば
散歩中にたまたま見つけたグラス
自分が好きな芸能人が美味しく飲めると絶賛していたグラス
どちらも同じお猪口だった時、どちらが美味しく飲めると思いますか。
実際、同じお酒を飲んでも芸能人がおススメした方が美味しく感じます。
これがハロー効果です。
特にその分野で有名ではない芸能人が専門外のことについて権威を感じたり、人間の味覚が変化します。
これは極端な例ですが、日本酒好きな身近な先輩が【錫製のお猪口で飲むと美味しいよ】と聞くと芸能人と同様の効果があります。
逆も例もあります。
グラミー賞受賞の天才ヴァイオリニスト・ジョシュア・ベル氏が、2007年1月12日にある実験を試みました。
寒空の中、朝のラッシュの駅で最高級のバイオリンで45分間野球帽を被って演奏をするというもの。
実験の結果は
立ち止まって演奏を聞いたのは7人、52.17ドル。52ドルの半分ほどは彼がベルだと気付いたファンからの物でした。
「路上で演奏しているからそんなに大したことがないだろう」という無意識の先入観が働きます。
彼が有名なコンサートホールで演奏すればどうでしょう。
最後の曲が終わるとお客さんはスタンディングオベーション、数分間は拍手が続くはずです。
人間の感覚は雰囲気でこんなにも簡単に変化されるもの。
酒器で例えると、セール品のお猪口と断腸の思いで奮発した錫製のグラス、どちらがお酒を楽しめるでしょうか。
自分が「良い・魅力的」と感じるものでお酒を飲むことによって、二倍三倍とお酒を楽しむことができるようになります。
酒器によって味が変わる
では、先程の先輩。雰囲気だけで錫製の酒器を勧ているのでしょうか?
実際ガラス以外の酒器で飲む場合、味の感じ方が変わんです。
それは形による変化と材質による変化です。
例えば木升で飲むと徐々に木の香りがお酒に移って樽酒の様なお酒に変化します。
https://mayottarasuru.com/2018/04/23/taruzakewotanoshimu/
では錫の特性はどのようなものがあるでしょうか。
錫の特性
錫は金属の部類では柔らかい部類に入ります。
そのため、落としたりぶつけたりして強い衝撃が加わるとすぐに凹んでしまいます。
その分、陶器やガラスと違い割れる心配がありません。
丁寧に使っていけば一生使い続けることができます。
錆びない
錫は非常に錆びにくい材質です。
水につけてもずっと棚においていても問題ありません。
使い続けていくにつれて表面が曇った様になる場合がありますが、柔らかい布で拭いてあげるとまた輝きを取り戻せます。
木升等と比べてお手入れがとっても簡単です。
熱伝導率が良い
錫はとても熱伝導率が良く、冷酒や熱燗に非常に向いています。
陶器やグラスと比べて非常に早く熱が回ります。
日本酒は温度が高い状態を保つと味が落ちてしまうため、できるだけ早く好みの温度まで上げる必要があります。
陶器の徳利との違いに驚くと思います。
※熱し過ぎると持てなくなるので注意が必要です。
優れた殺菌能力と雑味の吸収
昔から 「錫の杯は酒の毒を消す」「錫に入れたお水は腐りにくい」と言われています。
最近の研究により、金属から出るイオンが雑菌の繁殖を抑える効果があることが分かってきました。
この効果により、日本酒の雑味を取り除き美味しく効果があります。
口当たりがまろやかになる
錫で日本酒を飲むと口当たりがまろやかになり美味しくなります。
錫は金属特有の匂いがほとんどしないので、繊細な日本酒の味や香りの邪魔をしません。
注意点
電子レンジが使えない
錫は金属の中でも融点が232度と非常に低く電子レンジに入れるとドロドロに溶けてしまいます。
直火も禁止
電子レンジと同様の理由で直火で温めると溶けてドロドロになってしまいます。
やけどやガス機器の故障にもつながるので絶対に直接火に当てないようにしましょう。
冷蔵庫・冷凍庫での保管
錫は蓄熱量が大きい為、非常に冷気を貯め込んでしまいます。
素手で触ると手が凍り付き凍傷になる危険も。
冷酒を飲むときには飲む前二~三分程度で十分に冷すことができます。
私が使っている錫のおちょこ
能作(より能(よ)い鋳物を、より能(よ)く作る)
大正5年(1916)から錫物を制作している老舗ブランドです。
能作の錫は、純度100%。
通常は、仕上げ加工をしやすくするために他の金属材料をくわえて硬くしますが、能作の錫はそれらを一切含みません。
表面の錫がはげて危険な金属が露出することもありません。安心して使い続けることできます。
是非一度錫製の酒器を試してみてください。
なかなか普通の酒器に戻せなくなりますよ。
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