1000年以上の歴史!伝統製法「菩提もと」とは

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日本酒の伝統の製造方法である【菩提もと(ぼだいもと)】を知っているでしょうか。

日本酒造りでかかせない<もと>。つまり、乳酸菌をどのようにお米に加えていくかという所が論点になります。

現在では、技術の進歩で人工的に純度の高い乳酸菌を作り出し、お米に入れる「速醸もと」がもっとも一般的です。

しかし、はるか昔の人々は、現代の様に高濃度の乳酸菌を培養する技術を持っていませんでした。

では一体どのようにもとを作りだし、日本酒を造っていたのでしょう。

今回は、室町時代に確立された【菩提もと】(水もと)について解説していきます。

室町時代に確立

先程書いたように現在は「速醸もと」を用いて日本酒が作られています。

明治時代に考案された「山廃もと」、江戸時代から続く「生もと」などの伝統的な技法で作られた日本酒は現在でも見かけることがあります。

この伝統的な「生もと」も菩提もとを基に改良された方法だといわれています。

平安時代から徐々に朝廷からお寺に日本酒造りの基盤が移っていき、室町時代には数多くのお寺でお酒造りをしていました。

このお寺が作る日本酒を僧坊酒と呼び、高い品質と技術を誇っていたそうです。

菩提もと(水もと)はこの室町時代(約600年前)に奈良県の菩提山正暦寺で確立された醸造方法です。
清酒発祥の地菩提山正暦寺HP

菩提もと造りとは

菩提もとは別名「水もと」と呼ばれます。
仕込み水に生米と炊いたご飯を入れて乳酸菌を増やした「そやし水」を使用します。

このそやし水は、乳酸菌が多く含まれておりカルピスの様な酸味と果実の様な甘い香りがします。
乳酸菌から発生する乳酸により他の雑菌の繁殖が抑えられ、酵母にとても良い環境を整えることができます。

「菩提もと」は別名「水もと」とも呼ばれ、「もと」の仕込み水に乳酸菌を沸かせたものを用います。具体的には、仕込み水に生米と炊いたご飯を入れて酸性にしたものを「そやし水」と呼び、これを「もと」の仕込み水として使用します。

他の「もと」との比較

■速醸もと
人工的に作り出した乳酸を蒸米、麹、酵母等に投入する。
現在のほとんどのお酒で採用されており、安定した品質をすることができる。
乳酸菌の増殖と乳酸が作られる手間がないので、山廃やきもとと比べて約半分の2週間で日本酒が作られる。

■生もと
乳酸菌が活発に活動できるように、米を擂り潰し溶かす作業「山卸(やまおろし)」を行って、酒蔵の中に生息している天然の乳酸菌が自然に増えるのを待っていました。。
灘にある菊正宗は生もと造りが得意で、大吟醸や吟醸、パック、カップ酒とさまざまなバリエーションがあります。
菊正宗HP

→山廃もと(山卸廃止もと)
もとの造り方は生もとと同様に、酒蔵の中に生息している天然の乳酸菌が付着することにより発酵します。
技術革新で麹の酵素が蒸し米を溶かすことができるようになり、「生もと」で行う「山卸」の作業を廃止したもの。
事前に水の中で酵母を育て、米を擂り潰さなくても安定して日本酒を製造できるようになりました。

生もとと山廃を合わせて「生もと系」と呼ぶこともあります。

■菩提もと
水に事前に乳酸菌を繁殖させた「そやし水」を作り、この乳酸を大量に含んだ仕込み水を、一緒に浸けていた生米と共に蒸米にする方法。
生もとと比べて乳酸菌を安定して増殖させる技術が難しく、現在ではほとんど製造されていません。

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