ビールや日本酒、ワイン等でお酒ごとで発酵方法が違うことをご存知でしょうか。
原材料やその土地によって様々な伝統的な造り方があるお酒。
日本酒の発酵方法は「並行複発酵」と呼ばれる世界では珍しい方法を取っています。
今回はこの経項複発酵を見ていきましょう。
発酵とは
微生物の力を借りて元の成分を変化させることを言います。
身近な所で言うとヨーグルトやキムチ、納豆等が発酵食品ですね。
発酵と聞くと良い物の様な気がしますが、腐るのとどう違うのか・・?という疑問がありますよね。
簡単に言えば人間に良い結果になるものが発酵で、人間に良くない結果になるものが腐るです。
発酵と腐るは良い方が違いますが微生物によって変化するという点で共通しています。
日本酒は何を変化させているかというと、[米]→[糖分(グルコース)]→[アルコール]という二回の発酵をしてアルコールを造りだします。
この米から糖分を作る発酵と、糖分からアルコールを造る発酵を同時に行うことが「並行複発酵」と呼ばれるものです。
なんで並行複発酵が必要なの
日本酒造りにはこの並行複発酵が必要不可欠です。
お酒というのは酵母と糖分によるアルコール発酵によってできています。
日本酒の原材料であるお米には糖分が含まれていないので、米に含まれるでんぷんを糖(グルコース)に変える「糖化」という発酵が必要になります。
小学校の時の理科の授業でお米を噛み続けると酵素の力で甘くなるという話を聞いたことはありませんか。
なくても、お米を30回ほど噛むとどんどん甘味が増していきます。
この甘味と麹菌よって発生した糖分は同じグルコースなんです。
映画「君の名は」で口噛み酒というお酒が出てきます。
まだ麹菌が発見されていないころ、自然に麹菌が付くのを待つのではなく、お米を口で噛むことによって糖分を発生させアルコールに変化させるという技法です。
・先にすべて糖化してからアルコール発酵してはどうか?
酵母がアルコールを造りだすにはかなりの糖分が消費されます。
しかし、すべて糖分にしてからアルコール発酵をしようとすると糖の濃度が高くなり酵母の働きが阻害されるため上手く発酵が行うことができなくなります。
そこで日本酒の場合は、糖化とアルコール発酵を同時に行うことによってバランスを取って発酵していきます。
単発酵
ワイン等を製造する場合は、原材料のブドウに発酵に十分な糖が含まれています。
そのため、糖化を行わず発酵のみ行う方法を単発酵といいます。
並行複発酵のお酒の特徴
並行複発酵のお酒の特徴はアルコール度数が高いことです。
糖化とアルコール発酵を同時に行うことにより、糖化によってできた糖が効率よくアルコールに変化され続けるためです。
日本酒の原酒は20度を超えるものがほとんどです。
日本酒は他の醸造酒と比べても高いアルコール度数です。
日本酒以外の並行複発酵のお酒
並行複発酵はアジアに多くみられる技法で、中国や韓国、フィリピンでも行われています。
紹興酒 [中国]
お米が原材料で、中国の醸造酒。
別名黄酒とも呼ばれ、黄色い色の正体はカラメルを添加しているためである。
マッコリ [韓国]
小麦が原材料の韓国の醸造酒。
日本で言うにごり酒の様なもので、生マッコリは乳酸菌飲料のような香りと微炭酸が特徴です。
日本では火入れを行い炭酸が入っていないものも良く販売されています。
いかがだったでしょうか。
アジア独特の発酵方法「並行複発酵」。
世界のいろんな国に伝統的なお酒がありますが、そのほとんどは最初から糖分が含まれている果汁を使用したものがほとんどです。
しかし、日本は生産しやすいお米を使ってお酒を作る技術を確立しました。
またそれに合わせて麹や酵母も進化をつづけています。
将来今よりももっと美味しい日本酒に出会えることでしょう。
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